2016.6.4.Sat, 6.11.Sat,
伝統芸能・建築と関西フレンチの巨匠 石井之悠の
スペシャルメニューを堪能する2日間
国際会議APECの舞台として1995年に建築された大阪迎賓館。その一部を改装し、レストラン「大阪城西の丸庭園 大阪迎賓館」として2016年5月にオープンしました。和モダンと融合した本格フレンチが楽しめることはもちろん、建物としての歴史的価値や趣向を凝らした演出でも好評を博しており、この日は日本の伝統芸能をテーマとしたディナーイベントを開催。美しい箏の調べに耳を傾けつつ、獅子舞や傘回しといった太神楽を鑑賞しながら、最高級のおもてなし「響応料理」を堪能する夕べとなりました。
緑に包まれた歴史的な建物を舞台に、
非日常のおもてなしがはじまる
京都・二条城の二の丸御殿白書院をモデルに作られた建物は、折上格天井や生漆の古色塗りによる木材加工など、伝統の職人技術によって生み出された純和風建築。広間の大窓からは、6万5000㎡の敷地に息づく初夏の緑が広がります。国賓をも招いたこの空間が、今宵の響応料理の舞台。腕をふるうのはフレンチ界の雄、石井之悠。スイスのグランメゾンでも活躍した関西を代表するシェフの一人です。 「フレンチのテクニックを用いてはいますが、私のアイデンティティは日本人。和とフレンチの融合を、ぜひお楽しみください」。石井シェフからのご挨拶で宴が幕を開けました。
食材の個性が引き出され、調和する。
和とフレンチのマリアージュ
まずは前菜。懐石料理の八寸としてサーブされる一品はジュエリーボックスのような器で供され、蓋をあけると「お箸をつけるのがもったいない」と声が聞かれるほどの美しさ。中でも特筆すべきはフォアグラと奈良漬のテリーヌで、薄いピンクのフォアグラに奈良漬の層が混ざり合い、まるで小さなマーブルケーキのよう。なめらかな舌触りの中、フォアグラの脂の甘さと奈良漬のコクが協演しています。お吸い物仕立ての鱧のスープは、鱧の骨から出る旨味に鰹と鶏とベーコンという、ブイヨンの多重奏。続くお寿司は「フランス人がつくる和食」をイメージし、ホタテとトリュフのネタにバターライスのシャリという意外性のある一品です。美味しさだけでなく、楽しさのある料理でコースが進み、いよいよメインへ。魚料理は西京味噌の香り漂う伊勢海老を、肉料理はマデイラ酒のソースに山椒を添えた牛ロースステーキが供されました。「山椒の香りがさわやかで、こってりしがちなお肉もさっぱりといただけました。私たちの年代には特に嬉しいですね」というシニアのご夫婦からのお言葉通り、和洋折衷という言葉ではとうてい収まりきることのない、高い次元での融合がなされていました。
伝統を今に伝える名人芸。
繊細さも迫力も、目の前で味わう贅沢
また、宴の合間に獅子舞が各テーブルを回るなど、目の前で繰り広げられる太神楽は一層の迫力。筝の演奏は伝統的な曲だけでなく、J-POPをアレンジした曲など演出にも工夫が凝らされていました。「テレビでしか見たことのない曲芸を間近で見ることができ、新鮮でした」とのお声も。盛りだくさんの宴が終わり、帰路につくお客様の目の前に現れたのはライトアップされた大阪城。その堂々たる姿に見送られ、ディナーイベントが幕を閉じました。